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何かに没頭して、時間が経つのも忘れてしまった。
身体が痛かったのに、まったく気にならなかった。
こんな感覚を経験したことはありますか?
心理学者ミハイ・チクセントミハイによって提唱された『フロー(flow)』。
人間がそのときしていることに完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられます。
自分自身の心理的エネルギーが100%、今取り組んでいる対象へと注がれている状態です。
『ゾーン』や『ピークエクスペリエンス』とも呼ばれます。
そして『フロー』を経験することを『フロー体験』、
アスリートなどは『ゾーンに入った』と表現したりします。
★『フロー』の構成要素
『フロー体験』をするためには、以下のような要素が必要となります。
①明確な目的
目的を設定するということは、自分の向かっている先を明確にするということです。
自分の行先も分からないのに目的地には着けません。
その目的地があることで、過程に対して集中できるのです。
②専念と集中
注意力の限定された分野への高度な集中が必要になります。
それを行う人が、それに深く集中し、探求する機会を持つことが大切です。
つまり、そのことに専念し集中する時間を作らなければならないということです。
③活動と意識の融合
活動と意識が融合すると、自分に対する意識の感覚が低下します。
その行為自体は意識していても、その行為をしている自分を意識することがなくなります。
自分がそれをしている、自分が行為を意識していることをさらに意識してしまうと、
いわゆる「アガった」状態になってしまいます。
④時間感覚のゆがみ
これは一番知覚されやすい、『楽しすぎて時間が経つのを忘れた』状態です。
現実には数秒のことがスローに思えたり、逆に何時間もが一瞬に感じられたり、
時間感覚の変化が現実体験の歪曲となって現れます。
⑤直接的で即座な反応
活動の過程における成功と失敗が明確で、
行動が必要に応じて調整される状態のことです。
これは違う、ではこうしようという判断がすぐにできる、
目的や課題に対して適切で即自的なフィードバックを得られるということです。
⑥能力の水準と難易度とのバランス
達成しようとする活動の難易度と能力の発揮具合が適切なバランスである状態。
自分の能力と照らし合わせて難しすぎず、簡単すぎず、
全脳力を出しきることを要求されるレベルであること。
それをやり遂げることで自分の能力が向上するような難易度であることが重要です。
⑦状況や活動を自分で制御している感覚
その行為に対して自分がコントロールできているという感覚であること。
他人により状況や活動がコントロールされている感覚は失われます。
その物や状況をすべて自分でコントロールできると思うようになります。
⓼活動に本質的に価値がある
活動すること自体に価値があると感じ、その活動をすることが苦にならない状態。
その活動のあとどんな報酬があるか、褒められるかなどは一切関係なく、
その活動自体を目的にし、価値を見出すということです。
≪集中を妨げる要因のシャットアウト≫
上記8つの自分自身の状態に加え、環境が集中を妨げない状態であることも必要です。
これは、誰もいないところ、静かなところである必要はありません。
アスリートなどは大勢の観客やライバルの前で競技を行うのですから。
要は誰がいても、どんな状況でも、自分の意識にその行為以外のことが入ってこず、
その対象のみに集中できればよいのです。
例えば職場であれば、文章を書くのに集中しているときに、
同僚から声をかえられて意識がそちらに引っ張られることの無い状態のことです。
★『フロー体験』と幸福感
上記の要素が満たされると自分の心理的なエネルギーは、
100%その対象に注ぎ込まれるようになり、
非常に高い集中と、楽しいという感覚が生み出されます。
『フロー体験』はその状態にある間、人間は時間の流れを忘れ、
ひたすらその行為に没頭し、得も言われぬ高揚感を抱きます。
そしてこれが幸福感へと繋がっていきます。
『フロー体験』によって自分自身の複雑性が増し、それが成長に繋がります。
自分自身の能力を最大限に発揮し、そのプロセスを通じて、
自分自身の能力と、その行為よりさらに難しいものを行う力が向上し、
この体験を積み重ねることによって、自分の成長が加速されます。
自分自身の成長、これが人間の幸福感であることは、我々も経験と知っているはずです。
逆に快楽の追求、例えばお金をかけて娯楽を楽しむということは、
リラックスやリフレッシュなどには有効ではありますが、
自分自身の成長に繋がらないので、長期的な幸福感をもたらすものではありません。
要所要所で自分自身をリフレッシュし、長期的には『フロー体験』をする、
これが自分を幸せに導く1つの方法なのです。
★『フロー体験』をするポイント
自分自身と環境に必要なことは分かりました。
では、そのように『フロー』を見つければよいのでしょうか?
そのポイントを説明します。
①自分を変えようとしない
自己啓発などで今までとはまったく違ったことをしようとすると、なかなか上手くいきません。
必要なのは自分のスキルを活用する機会と、その行為に打ち込める時間。
それを繰り返していくことで成長し、おのずと自分の変化も現れます。
今の生活にその時間がないなら、その時間を作ることに力を注ぎましょう。
別の人間になるのではなく、自分を成長させるのです。
②注意力の投資
どんな行為でも、『フロー』を引き出し楽しめるようになる前には、
注意力の投資が必要となります。
テレビを見ることに比べると、趣味は2.5倍、活動的なスポーツやゲームは3倍、
高揚感を感じやすく、フロー体験を得やすいといいます。
しかし多くの人が、趣味やスポーツをする4倍以上の時間を、
テレビを見ることに費やすそうです。
フロー体験を生む行為には最初は努力や注意力が必要なのに対し、
テレビなどの受け身的なレジャーは楽だからです。
本当にフロー体験をしたいのなら、ある程度の注意力を投資し、
最初は技術を磨かなければなりません。
③テレビより本
テレビを見るくらいなら、読書をしましょう。
ドイツでの調査で、最も多くのフロー体験は、
多くの本を読みテレビを見ない人々によって報告されました。
逆もしかり、です。
フロー体験を得るには、能動的で積極的な活動が必要なことが分かります。
④仲間や友情
学問や芸術の成功と孤独であることはしばしば関連付けられますが、
フロー体験には仲間の存在が重要です。
人間は、誰かと一緒に居ることによって自分を見出します。
ずっと1人でいるのであれば、自分という存在も意味はありません。
同じ価値観を持ち、互いに鼓舞し支え合える仲間から得られるフィードバックは大切です。
『黒子のバスケ』という漫画をご存知ですか?
これはこの点を非常によく表現していると思います。
⑤精神的な豊かさ
経済と人生に対する幸福感には、わずかな関係性しかありません。
物質的、金銭的な豊かさと『フロー』にはまったく関係がないのです。
やりがいのある仕事、大好きな趣味、打ち込めるスポーツ、
これらが我々の人生に価値を与えてくれるのです。
⑥病気や障害
『フロー』状態の人はその間、痛みなどを我慢できます。
スポーツ選手は試合中、、痛みを忘れたりもします。
そして、病気や障害によって簡単にできることが難しい場合。
例えば服を着る、食事をする、散歩をする、車の運転・・・
これらの行為でも『フロー』を引き出せるようになるといいます。
ミラノ大学の研究によると、半身不随などの多くの人々にインタビューしたところ、
大きな事故の後の方が、事故以前より人生を楽しんでいることが分かりました。
逆に、宝くじ当選者の研究では、
宝くじを当てても幸福になっていないことも分かっています。
つまり人生における幸福とは、その人に起こった事柄ではなく、
その人自身が何を成し遂げるか、にあるのです。
⑦考えるなら良いこと
自分を内省し、深く考えることが大事だと言われます。
しかし、過去の辛い出来事について繰り返し考えるようであれば、
それは現在をも辛いものにしてしまいます。
もし自分についてよく考えるのなら、良かったことや楽しかったことを思い出し、
それ振り返ることでより自分を良い状態に持っていく事が可能です。
どんな境遇にあっても、幸せを味わうことは可能です。
この言葉は、苦しんでいる人に対しての苦し紛れの言葉のように聞こえます。
しかし実際は、
『フロー体験』を通じての高揚感や達成感からくる幸福感は、
どんな人にも導き出せるものと分かります。
スポーツの世界では勝負がついて回ります。
勝った方が楽しいに決まっているのですが、
負けても自分の成長に繋がる、
この言葉も、敗者にたいする慰めではなく、実際に起こり得ることだと分かります。
負けたとしても『フロー』を体験すれば、それは幸福感に繋がるのです。
好きなことを見つけてください。
そしてそれに打ち込んでください。
簡単に出来ることに惑わされないでください。
あなたの全力をぶつけてください。
変化は、あなたの延長上にあります\(\o-) ヘーン (-o/)ゝ シン!!! \(`O´)/ トウ!!
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